転倒予防について

転倒の実態

東京大学の武藤先生らの転倒についての研究(平均62歳)では、年間1回以上転倒した方において、半数の方が普通に歩いていた時に転倒しています。転倒時の状況は、普通や引っ掛かり、つまずきが多く、決して特殊な状況ではない時に生じることが多いといえます。転倒のタイミングは、は開始から10分以内が最も多く、また時間帯は午前10-11時台が全体の26%と最も多くなっています。そして約40%の方が骨折を受傷しており、些細な日常動作から大きなケガにつながっていることがわかります。

転倒し易い方の特徴

高齢者における転倒し易い方の特徴として、同じく武藤先生によると、3つの特徴があるということです。それは、 
  • 肥満傾向がある
  • 健脚度が低い
  • 動脈硬化がある
です。肥満ですが、具体的には、BMI、ウエスト囲、ヒップ囲が転倒に関連しています。加齢に伴う運動不足と過食傾向により太ることでウエスト囲、ヒップ囲、体重が増加し、BMIも増加する。筋肉ではなく脂肪ということでしょう。健脚度とは、10m全力歩行、最大1歩幅、40cmの踏台昇降の測定で評価します。すなわち、歩く、またぐ、昇って降りる機能の程度です。支持性、協調性、平衡機能の総合力といえます。動脈硬化は、具体的な関連項目として、中性脂肪、総コレステロール値の上昇、HDLコレステロール値の低下、動脈硬化指数の上昇の3つが挙げられており、またこれらは高血圧、糖尿病、脳血管疾患などとの関連因子であり、生活習慣病と言われるものです。日頃の生活習慣が転倒と関連するといえます。

転倒しないために

上記の転倒状況と易転倒者の特徴を裏返せば、転倒の予防のためにすべきことが見えてきます。健康的な食事と運動、しごく当たり前のことが転倒予防につながっています。転倒→骨折→寝たきり→介護という連鎖を起こさないために、少しずつでよいので、毎日意識して継続することが大切だと思います。自分の身は自分で守るしかありません。説教臭くなりますが、ちょっとをずっと、が重要です。