骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる全身性の病気です。日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。症状は出ませんが、骨折しやすくなるため、骨折を機会に骨粗しょう症が判明することもよくあります。骨粗しょう症の原因は骨の形成と吸収のバランスが崩れることですが、それには女性ホルモン、老化、食事・運動などの生活様式、持病、薬剤など複数の因子が関連しています。
骨粗しょう症

骨粗しょう症と介護

骨粗しょう症に関連する骨折は健康寿命に影響することが知られています。令和元年の国民生活基礎調査では、転倒・骨折は要介護となった原因の第3位であり、また認知症、脳血管疾患、衰弱も骨粗しょう症との関連が指摘されています。逆に言えば、骨粗しょう症の予防することで将来介護を受けずに済む可能性を下げることができます。
厚生労働省「国民生活基礎調査」

骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症は骨量の低下といいましたが、骨量は骨密度を測定することで評価します。骨密度を測定する方法はいくつかありますが、正確、かつ治療に直結する検査方法としてはDEXA(デキサ)法が最もよい方法です。DEXA法ではX線を用いて通常は腰椎と大腿骨近位を測定します。薬の選択や治療効果の評価はすべてDEXAで測定した数値をもとに科学的に判断されています。当院ではGE社製の最新の装置を用いて診断し、その結果に基づいて治療を行っています。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療は三本柱です。それは、食事、運動、治療薬の3つです。このどれが欠けても最大限の治療効果は得られません。食事はバランスがよく、カルシウムやビタミンD、Kを多く含み、適度なタンパク質を摂取することが大切です。運動は、理想的には多くの時間を割いてウォーキングや体操などができればよいのでしょうが、みなさんそれぞれ適切な運動強度は異なりますし、使える時間も違うと思います。それぞれの方が自分に合った形でできる範囲でよいと思いますが、私は、少しの時間でも毎日継続することが最も大切なことであると考えています。治療薬については、大きく内服薬と注射薬に分けられます。投与頻度も毎日から1年に1回というものもあり、選択肢の幅が非常に広いため、どれを選ぶか我々でもしばしば悩みます。ここでも重要なことはやはり継続性です。骨は1日にして成らず、です。患者さん自身が薬の必要性を理解し、コツコツ続けていただけることが大切です。当院では選択肢を提示し、患者さんにわかりやすく説明し選んでいただけるよう心がけています。